仏壇に供える花を選ぶ際には、特定のマナーや注意点を守ることが大切です。適切な花を選ぶことで、故人への敬意と感謝の気持ちを表現することができます。以下に、仏壇に供える花の選び方と避けるべき花について詳しく解説します。
避けるべき花
1. トゲのある花
トゲのある花は殺生を連想させるため、仏壇には不適切です。例として、バラやアザミなどが挙げられます。トゲは故人の安らかな成仏を妨げると考えられているため、選ばないようにしましょう。
2. 毒を持つ花
毒を持つ花は、「仏様に毒を盛る」という不吉な意味合いがあり、避けるべきです。代表的な例としてアジサイが挙げられます。アジサイは毒性があるため仏花には不適切とされています。具体的な毒成分は明確ではありませんが、アジサイを食べて食中毒を起こした事例が報告されています。また、アジサイの一種であるアマチャを煮出して作る「甘茶」を飲んだ子どもに中毒症状が出た例もあります。その他、ヒガンバナやトリカブトも毒性があるため避けるべきです。
3. 花粉や花びらが落ちやすい花
ユリのように花粉が落ちやすい花は、仏壇や周囲を汚す可能性があるため不適切です。また、ツバキやサザンカも花びらが落ちやすく、仏壇を汚す原因となります。ユリを供える際には、花粉を事前に取り除いておくことが重要です。
4. ツルがある花
ツルのある花は「故人がツルに絡まり成仏できない」という連想があるため、アサガオやクレマチスなどは避けましょう。
5. すぐに枯れる花
寿命が短く、すぐに枯れてしまう花も仏花としては不適切です。ユリやハイビスカスなどがその例です。短命な花は、故人の命の儚さを連想させるため避けた方が良いです。
6. 香りが強い花
香りの強い花は線香の香りを妨げるため、仏壇には不向きです。ユリやバラ、クチナシなどの香りの強い花は避けましょう。仏壇には控えめな香りの花を選ぶことが大切です。
7. 黒っぽい花
黒に近い色の花も避けるべきです。黒は不吉な色とされ、故人の冥福を祈る場にはふさわしくありません。ダリアや黒っぽいチューリップなどが該当します。
8. 食用植物の花
食用植物の花は、縁起が悪いとされるため不適切です。オクラやソバの花がその例です。仏壇には食べ物を連想させる花は避けましょう。
9. 派手な花
派手な花は敬遠されることが多いです。胡蝶蘭やヒマワリ、ハイビスカスなどの派手な花は仏壇には不向きです。仏壇には落ち着いた色合いの花を選びましょう。
仏壇に供えるのに適した花
1. 仏花
仏花として売られている花束は、菊やリンドウ、カーネーションなどが含まれており、安心して供えることができます。これらの花は長持ちし、仏壇を美しく保つことができます。
2. 季節の花
季節感を大切にし、以下のような花を選ぶと良いでしょう。
- 春:キンセンカ、アイリス、スターチスなどが適しています。春の花は新しい生命の始まりを象徴し、希望を感じさせます。
- 夏:リンドウ、ケイトウ、グラジオラスなどが良いでしょう。夏の花は活力とエネルギーを感じさせます。
- 秋:ホオズキ、ミソハギなどが選ばれます。秋の花は収穫の象徴であり、豊かさを感じさせます。
- 冬:ストック、スイートピーなどが適しています。冬の花は静かな美しさを持ち、静寂と落ち着きを感じさせます。
仏壇に供える花の選び方
1. 季節に合った花を選ぶ
季節の花を選ぶと、仏壇に供える花に特別感が出ます。命日や法要には季節の花を組み合わせることで、故人への思いをより深く伝えることができます。
2. 色合いを考える
仏壇に供える花は、白を基調にした3色または5色の組み合わせが一般的です。四十九日前は白を基調とし、派手でない色味の花を選びましょう。四十九日以降は少し華やかな色合いを取り入れても良いです。
3. 奇数の本数を選ぶ
花の本数は奇数にするのが望ましいとされています。3本、5本、7本が一般的です。1本も奇数ですが、1本だけでは寂しい印象を与えることがあるため避けることが多いです。花の本数に悩んだ際には、花屋や葬儀社に相談することをおすすめします。
4. 同じアレンジメントを2束用意する
仏壇の左右に同じ本数の花を飾るため、同じ花束を2つ用意しましょう。対になるように飾ることで、バランスが取れ、仏壇全体が美しく見えます。
生花以外の選択肢
最近では、手入れの手間がかからず長期間美しい状態で飾れるプリザーブドフラワーや造花を供えることも増えています。プリザーブドフラワーは、水やりの必要がなく、長期間美しい状態を保つことができるため、日常的に仏壇に供える花として適しています。造花を使用する場合は、遺族に相談してから贈ると良いでしょう。また、造花は燃えやすいため、ろうそくの近くに置かないよう注意が必要です。
ユリを仏花として使う場合
ユリは仏花として親しまれていますが、香りが強い種類や花粉が落ちやすい種類は避けるのが無難です。ユリの花粉は衣服につくと落ちにくく、仏壇や周囲を汚す原因となります。ユリを供える際には、事前に花粉を取り除いておくことが重要です。ユリはその美しさから仏花として人気がありますが、香りが強い種類は線香の香りを妨げる可能性があるため、特別な事情がない限り避けるのが良いでしょう。
仏壇に供える花の費用相場
法要などで仏壇用の花を用意する際の相場は3,000円〜5,000円程度です。仏花をかごにまとめた「花かご」の場合でも、相場は同じ程度であることが多いでしょう。花束と花かごはどちらを選んでも問題ありませんが、遺族宅が持っている花瓶の数に限りがある場合もあります。そのため、仏花を贈りたい旨を申し出る際に、花瓶に空きがあるかどうかを確認すると選択しやすいです。
また、日常的に仏壇に飾るための花を購入する場合の相場は500円〜2,000円程度が一般的です。仏壇に花を供える際には、費用相場を考慮しながら適切な花を選ぶことが大切です。
まとめ
仏壇に供える花を選ぶ際には、故人への敬意や感謝の気持ちを大切にしながら、適切なマナーや注意点を順守することが重要です。毒を持つ花や不適切な色合い、香りの強い花などを避け、季節の花や仏花を選ぶことで、故人に対する思いやりを表現することができます。また、仏壇に供える花の費用相場を把握し、適切な選択をすることも大切です。仏壇に供える花を選ぶ際には、この記事を参考にして、適切なお供えを行いましょう。